ツナマヨの美容を化学したい

現役化学系女子学生が論文などの研究結果を紹介しつつ美容のウソとホントに切り込みたいと思います。

美容でよく聞くヒアルロン酸とは?~最近の開発応用傾向~

 

こんにちは、ツナマヨです。

 

今回は美容に良いと言われているヒアルロン酸について調べました。

 

最近の化粧品への応用に向けての開発傾向なども紹介いたします!

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美容でよく聞くヒアルロン酸とは?

 

ヒアルロン酸とはどんな物質?

具体的にはN-アセチル-D-グルコサミンD-グルクロン酸からなる直鎖高分子です。

 

高分子とは分子量が大きい分子のことを指します。

例えば水H₂Oは1molあたり18gしかありませんが、ヒアルロン酸1molは100万以上g程度あると言われています。(※1molは分子の個数の単位。1ダースみたいなもの)

 

つまりヒアルロン酸のような高分子は分子1つあたりの重さも大きいし、大きさも巨大なのです。

 

美容にどうしていいの?

粘性を持っており高い保湿機能を有します。

その性質から美容液などによく使用されます!

 

 また、皮膚の構造は以下の画像通りなのですが

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皮膚の深層構造

 

この角質層~基底層までの表皮より奥にあります真皮はコラーゲンやヒアルロン酸ゲルでできています。

 

ヒアルロン酸注射はなぜ効果があるのかというと、年齢とともに劣化していく真皮の構造をもとに戻すことができるからですね。それによって肌の基礎的な保湿性が再生するということです。

 

ただ、この注射は効果が一定期間しかもたないため、今日では施術を継続する必要があるようです。また、注射して半異物を肌に注入するわけですから、リスクも伴う施術のようですね。 

 

まとめますとヒアルロン酸で得られる美容効果は以下の2つということになります。

  • 皮膚に塗布することによる一時的な表面の保湿効果
  • ヒアルロン酸注射による一定期間の基礎的な肌保湿性の向上(リスクが伴う!)

 

 

ヒアルロン酸は肌を浸透しない

ここがちょっとした勘違いポイントかもしれないですが、現時点での美容化学業界ではヒアルロン酸が皮膚を浸透したり、塗布することで蓄積することはあり得ません。

 

2020年に発表されたヒアルロン酸の経皮吸収に関しての総説(研究のまとめ)でも、経皮吸収によってヒアルロン酸やコラーゲンなどの高分子を皮膚(真皮)に導入することは化粧品業界の永遠の課題と言われています。

 

したがって、塗布による効果は一時的なのです。

 

皮膚の機能を奪うのはほとんど紫外線あるいは化学物質ですので、それらから肌を守るようにしましょう!

もともとある基礎的な保湿性を日常のケアによって守るのが一番ですね!

 

将来ヒアルロン酸が皮膚を浸透することはある?

 現在注目されている技術がヒアルロン酸ナノ粒子(HANP)というもの!

 

これはカチオン性化合物と呼ばれる物質とヒアルロン酸を混合することで、ヒアルロン酸をナノ粒子(非常に小さい粒)化させる技術なのです。

 

とっても小さい粒にすることで、肌に浸透させやすくするということですね!

 

マウスで実験を行ったところ、、、

ヒアルロン酸ナノ粒子の水溶液は皮膚に浸透しないのですが、乳化製剤化(水と油がいい感じに混ざった状態)すると皮膚に浸透した結果もあるそう!

 

ただ、現時点ではメカニズムが解明されていないので、本当に効果があるかどうかなどより検証を行っていく必要がありそうですね。

 

実用化されるのはまだ遠い日の話かもしれません。

 

 

参考

徳留嘉寛 、『ヒアルロン酸などの水溶性高分子は塗布するだけで 皮膚内部に送達できるか? Can Hyaluronic Acid Be Delivered in the Skin by Passive Diffusion?』、オレオサイエンス第20巻第3号 、p135-139(2020)

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